世界中が高インフレに悩まされていますが、これまでロシア産ガスに依存してきた欧州の国々にとって、その痛手は輪をかけて厳しいものとなっております。
ロシアによるウクライナ侵略を受け、本年5月に欧州委員会が『省エネ』、『クリーンエネルギーの創出』、『エネルギー供給の多角化』という3つの柱を掲げる【リパワーEU】という名の政策を発表し、欧州各国はその実現に向けて取り組み始めています。以前から誰もがクリーンエネルギーの重要性を理解していたものの、戦争勃発により、再生可能エネルギーに対する真剣度が格段に上昇しました。現在、EUに押し寄せている逆境が、次世代エネルギーへのスピーディーな飛躍に繋がることを心から期待します。
とは言え、再生エネルギーの開発は一朝一夕にできることではありません。「十分なエネルギーがない状況で、この冬をどうやって乗り越えるか」ということが、今のフランスの切迫した課題です。今現在、フランスでは原子力発電所56基のうち、メンテナンスの遅れや故障などにより20基が稼働していません。原発の稼働率を早急に高めない限り、電力受給がひっ迫し、地域ごとに一時的に電力供給を停止するという『計画停電』が実施されることになるかもしれません。
幸い、国民がみな節電を心掛けているため、計画停電の可能性は徐々に低くなりつつあります。フランス電力供給会社RTEが昨日、公表したデータによりますと、1月の電力消費量警報予測は、前回の『高い』から『中くらい』に下がりました。まさに皆の努力の成果ですね。
以前は室温を常に高めに設定していた寒がりの私も、今年の冬はとにかく何枚も重ね着をして節電を心掛けています。なんとか無事にこの冬を乗り切れますように。