ロシアによるウクライナ侵略が始まって3週間が経過しました。世界各国の政府から発動されたロシアに対する経済制裁を受け、ロシアで事業を展開している仏民間企業も今月に入ってから続々と対応を発表しています。

高級ブランド業界では、エルメス、ケリング(グッチ、サンローランなど)、シャネル、LVMHなどがロシア国内の店舗を一時的に閉鎖することを3月4日に明らかにしました。ロシア国内での売り上げはグループ全体の2%程度のようですが、高級ブランド企業にとっては、ロシア国内での店舗閉鎖の影響だけでなく、世界各地で巨額のショッピングをしてくれていたロシアの新興財閥『オリガルヒ』の資産凍結も、今後の売上高に響いてくるかもしれません。

ロシアでの業務を継続していくことを明言するフランス企業も多々あります。例えばダノンは、ロシア国内への投資プロジェクトは全て停止したものの、製造・販売活動は続けています。

ウクライナ戦争がひときわ辛い試練となっている会社もあります。ルノーがまさにそのケースに当たります。何しろルノーにとって、ロシアはフランスに次ぐ第2の市場。本年度の業績悪化は確実です。ロシアからの撤退は全く考えていないようですが、部品不足で今現在、工場が稼働停止に追い込まれています。

仏金融機関の中で特にロシアとの取引が多いのがソシエテ・ジェネラルです。2021年末時点の投融資総額のうち1,7%に当たる186億ユーロ(約2兆4000億円)がロシア向けでした。同社は「グループ内で十分に吸収できる損失額だ」と言っていますが、自己資本率の悪化は免れないでしょう。

スーパーの”オーシャン”、スポーツの”デカトロン”、家庭大工の”ルロワ・メルラン”、これらのチェーン店をロシア国内に400店舗も経営しているミュリエ・グループは、ロシアから撤退しないことを表明しています。

仏石油大手トタルエネジーズは、政府や人権団体からのプレッシャーを受けながらも、ロシア事業を継続しています。シェル、エクソン、BPなどロシア撤退を決めた石油会社が多く存在する中で、トタルエネジーズはどうしてもロシアとのビジネスを続けたいようです。本年度の決算で同社が大きな利益を計上したら、猛烈なバッシングが起こること間違いなしですね。


ウクライナの方々のことを思うと心が痛みます。
一日も早くこの戦争が終わりますように。