フランスは今、強烈な猛暑に見舞われています。ここ数日、ニュースを見ても新聞を読んでも、話題の中心はやはり暑さです。そんな中で、数日前のLe Monde紙に、公営プールをめぐる興味深い記事が出ていました。
フランスには、約4,000の公営プールがあるそうです。ただ、その多くは1995年以前に建設されたもので、中にはかなり古い時期に作られた施設も少なくありません。猛暑が厳しくなる一方で、市民の身近な避暑先でもある公共プールが、老朽化という問題に直面しているのです。
その昔、1960年代末から70年代にかけて、フランス政府は「1,000のプール計画」と呼ばれる政策を打ち出しました。背景には、溺水事故が社会問題になるほど多かったことがあります。さらに、1968年のメキシコ五輪でフランスの水泳成績が振るわなかったことも、この計画を後押しした理由の一つだったそうです。実際に調べてみると、メキシコ五輪の競泳でフランスが獲得したメダルは、銅メダル1個だけでした。それから半世紀以上がたち、2024年のパリ・オリンピックでは、レオン・マルシャン選手が一人で4つの金メダルを獲得し、フランス競泳全体でも合計7個のメダルを手にしました。
「1,000のプール計画」がそのまま金メダル量産につながったと証明するデータがある訳ではありません。それでも、全国各地にプールを整備し、子どもたちが泳ぎを学べる機会を増やしたことは、水泳教育の普及や競技人口の拡大、そして地域スポーツの発展に大きな影響を与えたと思われます。少なくとも、この政策がフランスの水泳文化を支える土台の一つになったとは言えそうです。
しかし、かつて全国に大量に建設された公共プールは、今では老朽化によって存続の危機に立たされています。改修には多額の費用がかかるため、多くの地方自治体にとって、単独で負担するのは簡単ではありません。そのため、国による支援を求める声も出ているようです。
地球温暖化が進み、猛暑が日常的なものになりつつある今、公共プールは単なるスポーツ施設ではなく、地域の安全や健康を支えるインフラでもあります。これからのフランスで、公営プールをどう守り、どう更新していくのか。暑さが増す時代だからこそ、改めて考えるべきテーマなのかもしれません。
