昨日の第1回投票の結果は下記のようになり、マクロン大統領の政党『共和国前進!』の圧勝、そしてルペン氏率いる国民戦線の大敗、といった、選挙前から言われていたことが現実となりました。

共和国前進とその連携政党であるモデム: 32.32%
共和党・連帯政党: 21.56%
国民戦線: 13.2%
急進左派「屈しないフランス」 : 11.02%
社会党 : 9.51%

数か月前までは、あれほど『脅威』と言われていた国民戦線ですが、世論調査結果を大幅に下回る票しか獲得できませんでした。ルペン氏の政党の人気がここまで急降下した理由は、(1)マクロン氏とのテレビ討論会(当社のこちらの過去ブログもご参照ください)、そして前回の記事でも指摘しましたが(2)次期党首候補と言われていたマリオン・マレシャル=ルペンが政界から身を引いたこと、(3)党内分裂、の3つだと言われています。

さて本日のメディアでは、選挙結果だけでなく、投票率の低さも大々的に取り上げられました。昨日はなんと有権者の半数以上が、投票をしなかったのです。これはフランス第五共和政史上、最低の数値です。ちなみに1993年から今回に至るまでの国民議会選挙第1回投票における棄権率は次のようになります。

1993年 : 31.09%
1997年 : 32.08%
2002年 : 35.58%
2007年 : 39.56%
2012年 : 42.78%
2017年 : 51.29%
(内務省が公表しているデータより)

ここ最近、棄権率はずっと右肩あがりでしたが、50%を超えたのは今回が初めてです。

ちなみに調査会社のIpsos / Sopra Steriaが6月7日~10にかけて行った「あなたはなぜ投票をしないつもりなのですか?」という世論調査での回答は次のようなものでした。

「政治家にはがっかりさせられてばかりで、もう何も期待していない」が30%
「誰が当選しようが、何も変わらない」が18%
「投票日に用事がある(バカンスや家族の都合など)」が18%
「どの政治家の公約もいまいちピンと来ない」が16%
「共和国前進!が勝つに決まっているから」が9%
「政治に全く興味ないから」が9%

「投票日に用事がある」の割合が、かなり高いですね(笑)

これ以外でも、メディアによると「大統領選挙は重要だと思っているが、国民議会選挙はそれほど大切だと考えていない」という意見が多く見受けられたそうです。

次の週末の決選投票でも、投票率は低そうですが、いずれにせよ、このままマクロン大統領の政党が大勝利を収め、過半数の議席を余裕で獲得することが予想されています。今後、マクロン政権により次々に行われるであろう改革は、フランス社会・経済にどのような影響を与えていくのでしょうか?注意深く見守っていきたいと思います。