年が明け、様々な分野で値上げや改定が行われています。 その中からマネーに関する事項を3つ、ピックアップしてみました。

1. 郵便料金の値上げ

インフレ率がほぼゼロのフランスにおいて、なぜか毎年激しく上昇している郵便料金。今年の1月から、またもや大幅アップです。Lettre prioritaireと呼ばれる普通郵便(20グラムまで)の切手料金は、2013年以降、次のように上昇しています。

2013年1月1日 0.63ユーロ(+5%)
2014年1月1日 0.66ユーロ(+4.8%)
2015年1月1日 0.76ユーロ(+15.2%)
2016年1月1日 0.8ユーロ(+5.3%)
2017年1月1日 0.85ユーロ(+6.3%)

2013年1月1日には0.63ユーロだった切手が、今では0.85ユーロということは、当時と比べて35%も高くなっているのですね。

2. 法的最低賃金(SMIC)の改定

1月1日より、法定最低賃金の時給が9.67ユーロ(約1,190円)に引き上げられました。かなり控えめな上昇率で、昨年比+0.93%です。

3. 住宅保険や自動車保険の保険料アップ

「また保険会社が値上げしたのね~」と軽く聞き流してしまいそうなこのニュースですが、実は裏に深刻な理由が隠されています。今回の値上げは保険会社の営利のためではなく、税金の引き上げによるものなのです。

あまり知られていないことですが、自動車保険や住宅保険など、フランスの損害賠償保険の保険料の一部は、『テロ及び犯罪被害補償基金(FGTI)』の財源に回される目的税として徴収されています。金額は少額で、保険契約1件につき、4.3ユーロが引かれるのみですが、保険契約件数がフランス全土でおよそ8500万件もあるので、毎年FGTIには十分な資金が流れ込みます。

ところが、1986年に創設されて以来、常に十分な準備金を保持していたこの基金が、昨年初めて危機に陥りました。

それもそのはず、ご存知の通りここ最近、フランスは頻繁に大規模なテロに見舞われています。その度にこの基金が登場する訳ですが、例えば2015年10月30日のパリ同時多発テロ被害者の方々への補償金は、トータルで3億~3億5000万ユーロ(約369~430億円)に上るそうです。2016年7月14日に起こったニースのテロでも、同じくらいの金額が支払われると試算されています。

テロに脅かされるフランスでは、この『テロ及び犯罪被害補償基金(FGTI)』の財源を確保すべく、本年度より保険料から徴収される目的税を、これまでの4.3ユーロから5.9ユーロへと、なんと37%も上昇させることになりました。

2017年はこの基金を使うような大規模テロが起こらないことを、心から願います。