2月4日から19日まで、パリ地域の学校は冬のバカンスでした。我が家は、パリから電車で2時間で行けるドーヴィルに行ってきました。

今回の旅行の話をしたら、「冬のドーヴィルと聞くと、映画『男と女』を思い出しますね~」と沢山の人から言われました。

その昔、1966年に当時まだ無名だったクロード・ルルーシュ監督により製作され、カンヌ映画祭グランプリ、アカデミー外国語映画賞など世界中で称賛されたこの映画は、未だに多くの人々の心に余韻を残しているのですね。確かに、50年以上経った今見ても、大人の恋の戸惑いに心揺り動かされる魅力的な作品です。

この映画をご覧になった方は皆、アヌーク・エーメの美しさに圧倒されたのではないでしょうか?ここ数年、彼女の姿を目にすることはほとんどなく、2014年の『ラヴ・レターズ』という舞台のお仕事以降、目立った活動はしていないようです。

『ラヴ・レターズ』は1989年にブロードウェイで公演され、大成功を収め、その後、ロンドン、パリ、そして日本など、世界中で上映されているロングランのお芝居です。アヌーク・エーメは1990年から2014年まで、この作品のパリ公演においてヒロインを演じました。

私は2005年に、彼女のこの舞台を見に行きました。壇上には大きなテーブルが1つ置かれ、アヌーク・エーメと、今は亡きフランスの名優フィリップ・ノワレの2人だけが、観客席に向かい座っていました。生涯にわたりやり取りされた手紙を、2人の役者がひたすら読み上げていく、という両者の演技力を試すような朗読劇には、緊張感が漂い、観客たちもその雰囲気にぐいぐいと引きこまれていたことを、今でもはっきりと覚えています。

彼女のお芝居を見た2005年当時、アヌーク・エーメは73歳でしたが、それはそれは美しく、存在感のある女性でした。

冬のドーヴィルを歩きながら、『男と女』や『ラヴ・レターズ』のことを思い出し、久しぶりにお芝居を見に行きたい気分になりました。