フランスで銀行カード (carte bancaire) と言うと、キャッシュ・カードとデビット・カード機能が一緒になったものを指します。

デビット・カードには (1) 利用してすぐに預金口座から金額が引き落とされる方法と、(2) その月に使った金額が月末にまとめて引き落とされる方法の2つがあります。月末にまとめて引き落とす方法を利用すると、手数料は少々高くつきますが、月末の給料日と同時に、その月の出費をまとめて清算したいという方にとっては便利な方法と言えるでしょう。

銀行カードにかかる手数料を比較する際に、注目すべきポイントは以下の2つです。

● カードにかかる年間手数料
● 他行のATMでの引き落とし手数料

まずは年間手数料について、銀行ごと、そしてカードの種類ごとに表にしてみましたのでご覧ください。

frais-carte-bancaire-v2

僅かな差ですがBNP Paribas が、どの種類のカードにおいても一番高い手数料を取っているとが分かります。この手数料は全て2006年7月25日現在の数字ですが、毎年約1ユーロずつ、どの銀行も手数料を上げているので、悲しいことに利用者の負担は今後も増えそうです。

次に他行のATMでの現金引き出し手数料について見ていきましょう。

例えカードを発行した銀行の店舗・提携金融機関のATMを利用しても、夜間、また土日・祝の引き出しについて手数料がかってしまう日本の銀行を知っている私たちにとって、他行のATMでの現金引き出しに手数料が掛かるという事実は、ごく当たり前に思えますが、フランスではここ10年の間に始まったばかりの動きです。昔は、どこの銀行のATMで現金を引き出しても手数料は一切掛かりませんでした。

ただ、現在でもゴールド・カード(Visa Premier など)の利用者には、これらのATM費用は掛かりません。

下の表は、ゴールド・カード以外のカードを持つ人が、ユーロ圏内で他行のATM から現金を引き出す場合の手数料です。

frais-retrait-espace-v2

手数料を節約する為にも、ゴールド・カードを持たない方々は、なるべくカードを発行した銀行のATMで現金を引き出すようにするのがいいでしょう。

さて、上の表で注目したいのがJazz, Esprit Libre, formule zen といった手数料パッケージです。『カードの盗難・紛失の際の保障』、『送金手数料2回分無料』また上の表のように『他行ATM での現金引き出し手数料6回分が無料』などといった、いくつものサービスの手数料をパッケージにしたサービスで、毎月一定額の手数料を払わなくてはなりません。

これらのパッケージを利用するのとしないのとでは、年間に支払う手数料の金額が大幅に変わってきます。例えばBNP Paribas でCarte Premier を持っている人の場合、本来128ユーロで済む年間手数料が、パッケージ・サービスであるEsprit Libre を利用すると、その額は一気に196.80ユーロに跳ね上がります。カードの盗難・紛失の保険料やその他のサービス料の上乗せで、ここまで金額に違いが出てきている訳です。

カードが盗まれるのではないかといつも不安でたまらない、という人を除いては、こういった手数料パッケージ・サービスにより、余計な手数料を銀行に支払わされている可能性が高いので、改めて確認したいところです。

さて最後に知っておくと便利な銀行カードの種類についてお話します。

これまで一般的な銀行カードそしてゴールド・カードだけを例に挙げてきましたが、経済的にさほど余裕のない方、お金を使いすぎる傾向にある方に便利な種類のカードも存在します。そのカードとは、利用する度に自動的に預金口座残高をチェックするもので、現在の残高、またはそれにある程度上乗せされた金額以上を使うことが出来ない仕組みになっています。各銀行、この種類のカードを独自の名称で呼んでいます。例えばLCLではCarte Indigo 、 La Banque Postale ではRealys という名前が付いています。他行ATMで引き出すと必ず手数料がかかってしまうという難点もありますが、これらのカードは何といっても手数料が低いのが特徴で、Carte Indigo の年間手数料は26.5ユーロ、Realys は僅か24.50ユーロです。

反対に、莫大なキャッシュ・フローを抱え、どこでもVIP待遇を受けたいという方にはVisa Infiniteまたは Platinum MasterCard がお勧めです。ゴールド・カードを遥かに上回る保障、旅行のオーガナイズ、航空券・ホテル・レストラン・観劇・スポーツ観戦の予約など、世界中いつでもどこでも万全の体制でニーズに応えてくれるのが 、このカードの強みです。当然のことながら年間手数料も非常に高く、ゴールド・カードの年間手数料の2倍以上となっています。(LCLでは280ユーロ、BNP Paribas では290ユーロ)

私たちは銀行カード無しには暮らしていけません。しかしながら、その銀行カードに掛かる手数料は年々上昇し、また手数料パッケージ・システムなども登場して、更に料金体系が分かりづらくなってきています。余分な手数料を払っていないか、今一度、ご自分の口座から引かれている手数料をチェックしてみるといいかもしれませんね。