困っている人たちを助けたり、環境を守ったりと、人と地球に優しい生活を実践する人たちがどんどん増えてきました。社会の一員として世の中に貢献することは非常に大切なことですよね。そのようなことをごく自然に、当たり前のことのように行う人が増えてきたことは本当に素晴らしいと思います。金融においても社会貢献の波が静かに押し寄せてきているようです。今回のコラムでは、人と地球に優しい金融商品をご紹介いたします。

エコ、持続的発展、地球保護、困っている人への援助などの目的を持つ金融商品には、大きく分けて2つのカテゴリーが存在します。1つ目は社会的責任投資(Investissement socialement responsable 《ISR》)、もう1つは社会的連帯金融商品である Produits solidaires です。目的は同じながら、この2つの金融商品のアプローチには違いがあります。一つ一つ内容を見ていきましょう。

社会的責任投資(ISR)

2004年には総額50億ユーロだった社会的責任投資ファンドの残高ですが、2007年末には220億ユーロにまで膨れ上がりました。社会的責任投資ファンドとは、環境対策や社員への待遇など、社会的責任を満たしているとみなされた会社に投資するファンドです。以前は株ファンドと債券ファンドしか用意されていませんでしたが、現在ではマネタリー・ファンドも存在します。ISRのファンド・マネージャーは、社会的責任を満たしている会社の中で、より高い収益を狙えるような企業の株や債券を選び、取引を行っています。社会的責任投資ファンドの歴史はまだ浅いため、長期に渡る過去のパフォーマンスを確認することはできませんが、一般的に『通常の株・債券ファンドと同等のパフォーマンス』そして『価格変動幅は通常のファンドより控えめ』と言われています。

持続可能な開発 (DEVELOPPEMENT DURABLE) をモットーにした運用だけを行うアセット・マネージメントの会社もあります。FINANCIERE DE CHAMPLAIN です。ファイナンスと環境、そして人々との調和を目指すこの会社が設立されたのは2000年のこと。まだまだ若い会社ですが、マーケットで着実にその存在感を高めています。FINANCIERE DE CHAMPLAIN のような会社の誕生は、「ただ投資をするだけではなく、その投資に意味を持たせたい」と思う人々が着実に増えてきた証拠なのかもしれません。

社会的責任投資(ISR)ファンドを検索するにはNOVETHICというサイト(フランス語)が便利です。

Produits solidaires (社会的連帯金融商品)

Produits solidaires とは、その商品に投入した金額の一部、または利息の一部が、社会的・人道的に役立つ活動を行う会社・組織に渡るような仕組みになっている商品です。預貯金、株、投資信託、と様々な商品が用意されています。例えば Banque Populaireが提供している CODEVair という預金口座では、顧客から預かったお金を、環境保護プロジェクトへの融資に利用しています。利息はCODEVI (フランスで全ての銀行で扱っている非課税の預金口座)の利率から0.5%引いたものが適用されます。また、La Nef という銀行のように、社会貢献に役立つ業務を専門に行う銀行もあります。利用者は La Nef が提供する預金を通じて希望の組織を援助することもできますし、または La Nef の株主になり、銀行の活動自体を応援することもできます。Produits solidaires の中には投資信託も数多く存在するのですが、投資信託の場合、規制の関係で資産総額の10%以下しか社会貢献業務に回せないことになっています。Produits solidaires の発展・向上を目的とする独立機関『Finansol』によると、この種の投資信託において本当に社会貢献に費やされているのは、資産総額の僅か6%だそうです。環境・社会貢献業務を行っている会社の株主になる場合、投資額の51%が、Livret と呼ばれる預貯金の場合、投資額の31%が、実際に社会貢献に流れているのに比べると、投資信託の貢献度はまだまだといったところでしょうか。

Produits solidaires は寄付の意味合いが強いため、通常の預貯金や投資信託よりも低い収益率になってしまいます。その代わりこれらの商品に投資すると、税制の恩恵を受けることが可能になります。商品によりますが、主要な税制メリットとして次のような項目が挙げられます。

1) 所得税額控除
非上場企業に投資をすると、投資金額の25%に当たる金額を、その年の所得税から減額することができます。先程ご紹介した社会貢献を専門とする銀行、La Nefも非上場企業ですので、所得税額控除を受けることが可能です。ただし、この控除を受けるには5年以上、その株式を保有し続けなければなりません。またどんなに高額な資金を投資したとしても、一人世帯なら年20,000ユーロ、カップル世帯なら年40,000ユーロまでしか所得税から控除することはできません。

2) 富裕税(ISF)の税額控除
課税試算評価額が790,000ユーロ(2009年時点)以上であるフランス居住者には、富裕税(ISF)と呼ばれる税金が課せられます。課税者が非上場企業に投資した場合、投資額の75%に当たる金額を富裕税から減額することができます。条件は先程と同様『5年以上、その株を保有し続ける』ということです。富裕税から控除できる金額の上限は50,000ユーロです。尚、前述の所得税額控除と、この富裕税の税額控除は、双方利用できるものではなく、どちらか一方のみを選択することになります。

3) 寄付金控除
ボランティア預金から発生した利子所得の一部を特定の団体に寄付する、という商品があります。その場合、寄付にまわされた金額の66%に当たる額を、その年の所得税額から控除することができます。ただし控除額は、課税所得金額の20%を上限とします。

選択する社会的連帯金融商品により、どのような税制の優遇を受けることができるのかについては、こちらのFinansol のサイト(フランス語)にリストが掲載されていますので、ご興味のある方はご参照ください。


昨年は世界の株式市場が暴落しましたが、「そろそろ株投資を始めてみようかな」と思われる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?自らのポートフォリオの中に社会的責任投資(ISR)ファンドを組み込んでみるのもいいかもしれませんね。または資産の一部を、社会貢献に役立つ預金や株に投資することもできます。金融商品を通じても、困っている人を助けたり環境のために何かをすることができるんだ、ということを、ぜひとも心の片隅に留めておきたいですね。