フランスの金融商品の中で不動の人気を誇る預金口座Livret Aの金利が、8月1日より遂に1.25%に低下してしまいました。2000年8月から現在までの金利の推移をグラフにすると次のようになります。


フランスでは税負担が非常に重いため、「税金をどう低く抑えるか」ということに皆、敏感になっています。そのために例え金利は低くても、利息に対して全く税負担がない非課税預金口座『Livret A』は常に大人気です。しかしながら1.25%まで金利が下がったとなりますと、いくら非課税とは言え実質収益率があまりにも低すぎます。INSEE(フランス国立統計経済研究所)によると2013年8月時点のインフレ率は年間+0.9%でした。つまり1.25%の金利はかろうじてインフレを上回るレベルであり、Livret Aに『資産形成』としての側面を期待するのには少々無理があります。それではLivret Aの金利がここまで下がった今、収益率を高めたい人は一体どこに預金を回せばいいのでしょうか?

より高い利回りを得る方法 その1
『短期資金運用ならスーパーLivret』

非課税ではない銀行預金の中でひときわ高利回りを提示しているのがスーパーLivretです。スーパーLivretとはフランスで2000年に登場した商品で、主にネット金融機関経由で販売されています。口座開設から3~4ヶ月の間に限り高いキャンペーン金利を提示している銀行が非常に多いです。当社経由で開設できるGE Money BankのスーパーLivretでは現在、口座開設から3ヶ月の間、4%の金利が付きます。

しかしいくら高い金利を提示しているとは言え、スーパーLivretは非課税ではありませんので、利息からしっかり税金が取られてしまいます。フランスの利息に対する税金はどの位なのでしょうか?

フランスでは利息に対して税金と社会保障費負担の両方を支払わなければなりません。社会保障費負担は2013年9月現在15.5%です。受け取った利息額は原則、他の所得と合わせて所得税の確定申告をした上で総合課税されます。つまり【自らの所得税率+社会保障費負担15.5%】が課せられることになります。但し一世帯当たりの年間の利息合計額が2 000 ユーロ未満の場合は、分離課税の税率か、総合課税か、どちらか税率の低い方を選択することが可能です。分離課税を選択すると【税金24%+社会保障負担15.5%=トータル税負担39.5%】となります。所得税率は2013年度現在、課税所得金額により0%、5.5%、14%、30%、41%、45%となっています。つまり所得税が最高税率の世帯が、数十万ユーロ以上といった大きな金額を、非課税口座以外の銀行預金口座に入金してしまうと、その利息から約6割が税負担として持っていかれてしまうのです。高所得者にとっては厳しいものがありますね。

余談ですが、昨年までは利息に対して総合課税にするか、分離課税の24%にするか、利息総額に関わらず、自分にとってお得な税率を選択することが可能でした。しかし富裕層に対する増税をはばからないオランド現政権は、「所得が高く、尚且つ多額の預貯金を持つ世帯には、もっと税金を支払ってもらおうじゃないか」ということで、利息も総合課税にするよう法改正をしたのです。しかしながら先述しましたように例外として、年間の利息合計額が2 000 ユーロ未満であれば、どんなに所得の高い世帯でも、分離課税(【税金24%+社会保障負担15.5%=トータル税負担39.5%】)を選択することができます。例えば当社経由で口座開設できるGE Money BankのスーパーLivretは当初4%の金利が付きます(2013年9月18日現在)。分離課税を選択するのであれば、4%の表示金利から39.5%の税負担を引くと実質2.42%となります。現在1.25%のLivret Aの金利よりもずっと高いですね。スーパーLivret では多くの場合、キャンペーン期間を過ぎると金利がぐっと下がりますので、例えば3ヶ月間だけ入金して、その後は別の口座に移す、などという方法も効果的です。

より高い利回りを得る方法 その2
『長期運用を考えるならAssurance Vie』

非課税Livretの正しい使い方は『万が一の時に備えたお金のみを口座に入れておく』ということです。インフレを僅かに上回る利息しか付かない訳ですから、Livret Aでは購買力を維持するのがやっとです。もし年金準備や教育資金に備えてLivret Aに貯金している方がいらっしゃったら、今すぐにもっと高利回りの商品に変更すべきでしょう。フランスでは税制面と収益率を考慮すると、長期運用においてAssurance Vieに勝る商品はありません(Assurance Vieの詳しい仕組みは当社のこちらのページをご参照ください)。

Assurance Vieでは、口座を開き、その中に好きな投資信託を自由に組み込んでいく、という仕組みになっています。Assurance Vieの口座内には、株・債券などの投資信託を入れて収益性を狙うこともできますし、元本保証のユーロ・ファンドと呼ばれるファンドのみを利用して通常の預金のように利用することもできます。また、そのユーロ・ファンドの利率が通常の預貯金よりも遥かに高いのも特徴の一つです。2012年度、優秀なAssurance Vieは年率約3.00 ~ 3.50 %を実現しました。昨年度のLivret Aの金利は2.25%でしたので、それに比べると現在の低金利時代においてもそこそこ高い利回りを出せる商品であることが分かります。

銀行の預貯金ですと、利息に対して毎年、税金+社会保障費負担を支払わなければなりませんが、Assurance Vieでは、口座からお金を引き出す際にのみ、税金が課せられます。つまり口座からお金を引き出さない限り税金は課せられることなく、本来支払うべき税金部分も更に利益を生み出してくれる、という訳です。

但し2011年10月から元本保証のユーロ・ファンドに限り、毎年の利息から社会保障費負担の15.5%だけは天引きされるようになりました。但し、株・債券ファンドなどリスク商品に関しては今でも、お金を引き出す時にのみ『税金+社会保障費負担』がまとめて課せられます。

更に、口座開設から8年を経過した口座に対しては特別控除が用意されておりますので税金部分をゼロにすることも可能です。口座開設から8年を超えてから引き出したお金のうち、利益部分が特別控除額(独身なら4600ユーロ、カップル世帯であれば9200ユーロ)未満なら税金はゼロで、社会保障費負担を支払うのみで済むのです。

元本保証のユーロ・ファンドの利率は年が明けてから「昨年の利率は〇%でした」という形で発表されるため、2013年度の金利がどの位になるかは分かりませんが、2.5%程度は出る可能性が高いと思います。2.5%の金利から社会保障費負担の15.5%が天引された後の実質金利は2.11%ですから、Livret Aよりも高い利回りですね。ここ最近は強烈な低金利時代が続いておりますのでLivret Aと元本保証のユーロ・ファンドの金利差も微々たるものですが、やがて近い将来、長期金利がじわじわと上昇していくと、ユーロ・ファンドの金利も大きく上がりますので、Livret Aとユーロ・ファンドの利回りの差が広がっていくことが予想されます。


低金利時代の今、どこを見渡しても素晴らしく利回りの高い預貯金は存在しませんが、そのような環境の中でもなるべく収益率を高めるためには、「比較的近い将来、引き出す可能性のあるお金は銀行の預貯金に入金し、長期運用する予定のお金はAssurance Vieに入れる」というように投資期間に合わせて商品を選ぶことがポイントになります。米国経済が徐々に回復していることを念頭に置き「これからはリスク・オンだ!株に投資してみよう!」という考え方もあるでしょう。その場合、フランスではどの口座で株取引をするかにより、適用される税制が異なりますので、投資をする前に十分に検討しなければなりません。預貯金に関しても、株取引に関しても口座により税制が変わってしまうところからも、フランスの税金体系の複雑さが垣間見れますね。フランスの主な金融商品に関する仕組みを一通り学んでみたいという方は当社のセミナー『フランス金融商品マスター講座』をぜひご利用ください。フランスの金融商品スーパーLivretやAssurance Vieについてご興味のある方は資料をお送り致しますので、どうぞお気軽に当社にお問い合わせください。