フランスには節税効果のある株投資がいくつか用意されています。今日はその中からFCPIと FIP、2種類のファンドについてご説明したいと思います。

FCPI (FONDS COMMUNS DE PLACEMENT DANS L’INNOVATION)

日本語に訳すと『技術革新投資ファンド』です。このファンドは上場していないハイテク関連など技術革新を進める会社の株で構成されたもので、ファンドを購入した年の所得税に対して減税効果があります。

FCPI は1997年に創設されました。このファンドにはどのような会社の株が含まれるのでしょうか?「技術革新を進める会社」と言っても、ハイテク企業ならどれでも投資対象になる、という訳ではありません。ここでOSEOという公的機関が登場します。OSEOは、経済の発展につながるような革新的な技術・商品開発を行っている会社に対して適格マーク (entreprise innovante) を与えています。その適格マークを保持する会社が『技術革新をしている会社』とみなされるのです。このファンドの60%はOSEOによって認められた、技術革新をしている会社の株式に投資されます。また、その60%の中の3分の2は非上場の会社に、3分の1は上場会社に投資されます。(以前はファンドの60%丸まる非上場の会社に投資しなければなりませんでしたが、2005年から規制が変わりました)このようにファンドの60%は技術革新を進める会社に投資されますが、残りの40%に対しては特に決まりがないので、ファンド・マネージャーが自由に株・債券などに投資できるような仕組みになっています。

< FCPI の節税効果 >

このファンドを購入すると、その購入代金(ファンドの売買手数料も含む)の25%の金額を、所得税額から控除することが出来ます。例えばFCPI を10,000ユーロで購入した場合、そのファンドを購入した年度に課せられる所得税額から2,500ユーロが税額控除されます。かなり思い切った大きな減税ですよね。この税額控除の金額には上限があります。独身世帯に対しては3,000ユーロ、カップル(夫婦・PACS)に対しては6,000ユーロとなっています。つまり、独身の人はFCPI に12,000ユーロ、カップルは24,000ユーロ投資すると、所得税額からそれぞれ3,000ユーロ、6,000ユーロが減額され、この減税制度を最大限に利用することが出来るという訳です。

税額控除は「そのファンドを購入した年度の所得税」にのみ適応されます。もし毎年毎年FCPI を購入すれば、毎年毎年、この所得税の税額控除を利用することが出来るのです。ちなみにこの制度には期限があり、2010年12月31日までのFCPIの購入が、条件となります。

税額控除の他にも、特典があります。FCPI を5年以上保有し売却した際に、運用益が出た場合、その運用益(株式譲渡所得)には課税されないのです!

FIP (FONDS D’INVESTISSEMENT DE PROXIMITE)

今度はFIP について見ていきましょう。直訳すると『近郊地域への投資ファンド』となります。2003年に創設されたこのFIP に該当するファンドは、主に地域に根付いた中小企業の株に投資しています。一口に中小企業と言っても規模も収益率も様々です。このファンドの投資対象になる中小企業は、ある一定の条件を満たしていなければなりません。その条件とは、法人税を支払っていること、従業員が250人以下であること、売り上げが5000万ユーロ未満であること、総資産額が4300万ユーロ未満であること、などです。このファンドの60%が、以上の条件を満たしたある一定地域内の中小企業の株式に投資されます。さらに特筆すべきはファンドの10%以上は、設立されて5年以内しか経っていない新会社に投資されなくてはならない、ということでしょう。

< FIPの節税効果 >

FCPI と全く同じ節税効果を得られます。しかもFCPI とFIP は併用することができるのです。この2種類のファンドを最大限の利用枠で購入すると、所得税額から差し引かれる減税額は独身世帯にとっては6,000ユーロ、カップルの場合12,000ユーロにも上ります!非常に大きな節税効果ですね。

FCPI / FIP に投資する際のアドバイス

この2つのファンドの素晴らしい節税効果を見ると、今すぐにでも投資したい気分になりますが、ちょっと待ってください!投資する前に、きちんとファンドの欠点も抑えておきましょう。

一つ目の弱点は、これらのファンドに投資したお金はしばらくの間、動かせない、ということです。ファンドを購入後5年以内に売却すると、ファンド購入時、所得税から税額控除された金額を、税務署に払い戻さなくてはなりません。(購入者が死亡、身体に障害を負う、または失業した場合に限り、5年以内でファンドを売却しても、税額控除の返却義務はありません)基本的にこれらのファンドは売買で利益を得るという性格のファンドではないので、購入したらファンドの償還日まで保有し続けるのが望ましいです。ファンドの信託期間は8~10年に設定しているところがほとんどです。長期投資を前提に、最低でも8年以上は使う予定のないお金で投資するのが好ましいでしょう。

そしてこれが一番大切なポイントですが、これらのファンドの60%を占める中小企業の株は非常にリスクが高く、投資している会社が潰れてしまい、投資した金額が全てなくなってしまうこともあり得ます。リスクの高い投資である事を充分理解しておく必要があります。

特にFCPIにはハイテク株が多く含まれている為、リスクは非常に高く、Ernst & Youngが出したレポート「1997年から2004年のFCPI のパフォーマンス」に依ると、FCPI に当てはまる143のファンドの平均利益率は、節税効果を除くとマイナスだったそうです。せっかく投資額の25%分が減税されても、肝心のその投資の利益率がマイナスではプラス・マイナス0 どころか、総合的に見て大きくマイナスになってしまうことも充分にあり得るのです。

このようにリスクが高いファンドなので、大きな金額でまとめて1回のみFCPI を購入するよりも、金額を少なめに何年かに分けて購入していった方が、リスクは遥かに分散されます。また毎年、同じ投資会社のFCPI ファンドを購入するのではなく、違う会社のファンドを購入することによって、更にリスク分散効果を高めることもできます。

FCPI / FIP は「8年以上使う予定のないお金」そして「なくなってもいいお金」がある方にとっては、節税対策としてとても魅力的な商品です。しかしそのメリットばかりに気を取られて、投資し過ぎないように気を付けましょう。あくまでも分散投資の一環として、自己金融資産の5%程度に抑えておく位がちょうどいいと言えるのではないでしょうか。