フェアトレード(フランス語ではCommerce Equitable と呼ばれています)とは貧困のない公正な社会を作る目的で生み出されました。多くの場合、貧しい発展途上国の生産物を輸出する業者は営利主義です。つまり生産者に支払う賃金を非常に低く抑え、豊かな国に商品を高く売り、利益を得ています。しかし、フェアトレードでは現地の生産者たちに対して適切な賃金を支払い、必要に応じて代金を前払いしたり、長期取引を保証したりします。フェアトレードによって生産者たちは、定期的でしかも適切な収入を得ることができ、安定した生活を送ることができるようになります。安定した生活を送る人が増えれば、社会全体の発展にも繋がりますね。それこそがフェアトレードの目的なのです。

フェアトレード商品の種類も現在では大変豊富になり、食品、化粧品、衣類、インテリア雑貨のみならず、フェアトレードのツアー旅行なるものも存在します。

フェアトレード市場の数字

国際的なフェアトレード組織であるFLO (Fairetrade Labelling Organizations International) が発表した数字によると、2006年度のフェアトレードの全世界での推定売上は16億ユーロ(1.6 milliard)に達しました。2005年度と比較すると、41%も上昇したことになります。国ごとの内訳を見てみると、ヨーロッパ諸国が占める割合が65%と、圧倒的に高いのが特徴です。

フランス国内ではどうでしょうか?ヨーロッパ最大のフェアトレード市場を誇るイギリスの4億1千万ユーロにはかないませんが、それでも着実に数字を伸ばし、2006年には推定売上1億6千万ユーロと想定されています。フランス人がフェアトレード商品に費やす一人当たりの消費額もまだまだ低いですが、その数字は確実に伸びています。フランス国内のフェアトレード商品の品質を管理する組織PFCE (Plate-Forme pour le Commerce Equitable) の資料によると、2002年には一人当たり0.4ユーロだったものが、2005年には1.4ユーロになりました。お隣の国、スイスではこの金額がぐっと高く、一人当たり14~18ユーロもフェアトレード商品を購入しているそうです。

金額面ではまだまだですが、それでもフランス人たちの生活の中にフェアトレードの概念がどんどん浸透しているのも事実です。リサーチ会社Cabinet Weiの調査によると、2000年にはフランス人の僅か9%しかCommerce Equitableという言葉を聞いたことがなかったのに対して、2007年現在では81%もの人がその存在をしっかり認識しているそうです。

どれだけ生産者に還元されているのか?

フェアトレードの製品は物にもよりますが、一般的に通常の製品よりも8%前後、割高になっている場合が多いようです。通常の値段に上乗せする事によって、生産者にはどれだけ多く還元されているのでしょうか?

フェアトレード・ラベルとして有名なマックスハベラーを扱う会社、Ethiquableのコーヒーと、通常のアラビカコーヒー、それぞれを購入した場合、支払ったお金がどこに流れていくのか見てみましょう。

commerce-equitable-v2備考: Ethiquableのデータを元に筆者が作成

上記の例では、フェアトレードのコーヒーが通常のコーヒーよりも25サンチームだけ割高ですが、生産者に還元される額はなんと41サンチームも多いのです。生産者にとっては通常のコーヒーよりも2倍以上の金額が手に入るという訳ですね。フェアトレード・ラベルであるマックスハベラーに支払うラベル料として6サンチームかかってしまいますが、フェアトレードでは配給業者が手数料を少なめに抑える事が多いため、十分、通常の商品に対抗できる料金を設定する事が可能なのです。

確かなフェアトレードの商品を手に入れるためには

上記の具体例によって、多少割高になってもフェアトレードの利用によって、生産者に多く還元することができることが分かりました。しかしこのような効果を実現させるには、信頼できる確かなフェアトレード商品を購入しなくてはなりません。正式なフェアトレード商品を見極める目安として、そのお店やラベルが、しっかりしたフェアトレードの組織のメンバーかどうかを確認する、という方法があります。国際的な組織であるFairtrade Internationalや、フランスの国内フェアトレード組織として有名なPFCE (Plate-Forme pour le Commerce Equitable) に加入しているメンバーは、フェアトレードの基準を守っているかどうかの監査がしっかりされています。


貧困のない公正な社会を作ろう!という目的のため生み出されたフェアトレードの市場は急成長を続けています。しかしながら寄付金をする時と同様、「渡したお金は、果たして正しく使われているのだろうか」という心配があるのも事実です。でも大丈夫。信頼できる確かなフェアトレード商品を購入することによって、その不安は解消されます。買い物を通じて、より社会に貢献することができるというこのフェアトレード。皆さんもぜひ生活の中に取り入れてみませんか?