日本と同様、フランスでもネット証券で証券取引をする人が増えています。今回は、フランスのネット証券についてのお話です。

フランスのネット証券事情

フランスでは1990年代にネット証券が次々と誕生しました。当時の株式市場の上昇も手伝い、2000年にはネット証券の会社数は50社にも上りました。しかし、その後の株価下落を受けて、その数はどんどん下がり、現在では約20社しかありません。その中で大手と呼べるのは Boursorama, Cortal Consors, Fortuneo, Symphonis の4社のみです。この4社がネット証券業界の総売上のうち8割を占めています。

ACSEL (インターネット商業・サービス協会)によると、2006年1月から4月にインターネットでの取引された件数は 4,612,951 件でした。毎月、約100万件超の約定件数を記録しています。ユーロネクストで取引された総件数から見ると、この数字は全体の約17.6%にしかすぎません。日本ではどうでしょうか?日本証券業協会「インターネット取引に関する調査結果(平成17年9月末)について」によると、インターネット取引の割合は全体の28.7%です。フランスは日本に比べると、インターネット取引がまだまだ浸透していない段階にある、と言えるでしょう。

しかし、フランスでもインターネット口座数は確実に伸びていて、2005年の1月には 588,606 しかなかったものが、2006年4月末では 667,607 になりました。ただ、一つのインターネット口座の月平均約定件数は僅か1.54件です。デイ・トレーダーが氾濫する日本とは状況が違いますね。

手数料の比較

次の表は、ネット専業の主要証券会社6社の約定代金別の手数料一覧表です。参考までにソシエテ・ジェネラルの手数料も入れました。ユーロネクストで取引したときの税込み手数料(2006年5月20日現在)を表示しています。

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約定金額が500ユーロの場合、Fortuneo の Petit Ordres というコースを使うと、手数料5ユーロで一番安く済みます。約定金額が10,000ユーロの場合、Capitol の Petit Absolut Trader というコースを使うと、手数料10.7ユーロで他社に比べて低いですね。

ほとんどの証券会社は、初心者用コース(あまり頻繁に取引を行わない、または小額の取引をする人向け)と上級者用コースを用意しています。しかし、日本のネット証券会社のように「一日の約定代金合計額が xxx万円以下なら手数料 xxx円」のような一日定額コースはありません。上級者コースとは言え、どこの証券会社も「約定ごと」の金額を提示しています。1日に10件くらいトレードする人にとっては、手数料がとんでもなく高くついてしまいます。

サービス内容で差別化

大手4社以外でも、サービス内容で差別化を図って顧客を獲得している会社もあります。例えばデリバティブに強い Start Finance。海外の株式指数先物まで取り扱っているフランスのネット証券は、この会社くらいです。そして、あまり取引をしない人にとって非常に魅力的なプランを提供するのが Mesactions.com。約定金額が5,000ユーロ未満であれば、月2件のトレードは手数料ただになります。

プライベート・バンキングで高い評価を得ている Fideuram Wargny のネット証券子会社 Wargny も独自の地位を確立しています。Wargny が毎朝、顧客に送るモーニング・レポートの質の高さが、根強い人気を支えているようです。

正しいネット証券の選び方

ネット証券会社を選ぶには、まずは自分がどんな金融商品をどれくらいの頻度で、またどれ位の金額の取引をするのか、そしてどんなサービスを求めているのかを、十分考慮することが大切です。その上で、各社のサービスを比較し、自分にもっともぴったり合ったネット証券会社を選択するのが正解でしょう。

また、口座を開設する際には、「友達紹介キャンペーン」を利用するのもいいですね。例えば Fortuneo では、Trader Actif のコースを選ぶ人を紹介した場合、紹介した人には150ユーロをプレゼント、紹介された人には最初の10件のトレードの手数料を無料にしています。

いずれにせよ、フランスのインターネットでの取引は日本ほど活発でないので、サービス・手数料もまだまだ、といった感があります。しかし、徐々にではありますが、顧客数が増えているのも事実なので、今後の更なるネット証券業界の発達、そしてサービスの向上に期待したいものです。